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ストーンズをあきれさせた名カメラマン

2008/03/14 07:43

 

 先日、「アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生」という映画を観たのよ。

 名前は知らなかったけど、ヴァニティ・フェア誌の拍子を飾ってあちこちで取り上げられたハリウッド女優のデミ・ムーアの妊婦ヌードを撮った、あのカメラマン(カメラウーマン?)ね。
  
 1973年~81年まで音楽誌「ローリング・ストーン」の表紙を担当していて、ジョン・レノンが1980年12月、ファンの凶弾に倒れるほんの数時間前に撮影をしてた人としても有名。

 黒のセーターと濃紺のジーンズ姿で仰むけに寝る妻のオノ・ヨーコに、ジョンが全裸のかっこうでヨーコにまとわりつくように脚を絡め頬にキスしてる写真。

 ジョンの追悼号の表紙に使われた作品で、少なくとも、あの当時に20歳を過ぎていた人なら、よほどの社会音痴じゃない限り「ハイハイハイハイ、見た見た見た」ってなるはずですよ。

 そのアニーのカメラマン人生の足跡を振り返ったドギュメンタリータッチの映画。

 なぜ観たかというと、毎度のことでスイマセンが、なんかの映画を観た時に予告編をやっていて、アニーについてストーンズのキース・リチャーズが語ってたわけ。

 「彼女は俺が見えないものを見てる」とかなんとか言ってたような。

 どっちにしても、ストーンズの写真を撮っていたなら観なきゃしょーがねーじゃん。

 パンフによると、1975年のストーンズのツアーにくっついて歩いて撮ったらしい。たしか、あの時のツアーではミックもキースもどぎつい化粧をしていて、ビジュアル的には中性的な倒錯美を醸し出していた時で、まだまだドラッグやりまくりの時代だったと思う。

 アニーは常に被写体の生活に密着して一体となり、被写体が撮られている感覚をなくすくらいにベッタリ張り付いて、他のカメラマンにはない衝撃的な写真を撮影してきた人なんだけど、さすがにこの時、「ローリング・ストーン」の編集長は、「くっついてまわるな」って言ったんだと。

 要するにクスリ漬けでヘロヘロになっちゃって、以後、使いものにならなくなることを危惧したわけ。

 そう言われて止めるタマだったら務まらねーよな。当然、密着したわけ。まあ、あとあと、そーなっちゃったみたいだけどね。

 で、当時の写真を見せられたキースは言いました。「こんな写真、いつ撮ったんだい? オレは知らないよ」とかビックリ&感心して、さっきの発言になるわけ。なんか、キースが撮影スタジオでヘロヘロになってグッタリしてて、ジーンズのチャック丸開きで酔いつぶれてんだか、ラリリつぶれてんだかしてる写真。

 「いつの間にか、彼女がいることが気にならなくなた」みたいなことも言ってた。ミック・ジャガーも「彼女の視点は他の人と違ってた」って感心してたよ。デミ、キース、ミック、ウーピー・ゴールドバーグ、ベット・ミドラーアーノルド・シュワルツェネッガーパティ・スミス、様々なスターがアニーについて語っているんだけど、

 共通するのは、「アニーがいることが、気にならなくなる」ということね。どーいうことか?

 自分なりに分析してみました。

 彼女は、1989年に同性の恋人、パートナーの女流作家、スーザン・ソンタグと巡り会う。知性と感性が文化衝突してスパークしちゃったんだろうな。

 そういう私生活の部分が中盤から出てくるんだけど、実はその以前から映像を見ていて感じていることがあった。

 要するに、彼女からは全然フェロモンが出てないの。

 男でも女でもない。ただの人間。ひたすら対象に愛情と熱意を注ぐ人間になっちゃうわけ。そのことに、男も女も安心するんじゃないか。特に、人一倍、自己顕示欲の強いスターという存在の人々は、フェロモンを発散してるヤツを本能的に嫌う。

 フェロモンにおいて、自分のライバルとなるものは排除するのが君臨したがる人間のつね。彼女はスターにとって、仲間意識をもって迎えられる必要絶対条件、フェロモンをださない希有な存在だったんだと。

 フェロモンが出てたら、意識するんだよ。この人が対象にすんなり入り込んで、撮影者に身をゆだねたいい表情の写真が撮れるのは、スターに自意識を芽生えさせる存在じゃないから。

 でもね、彼女は2004年にパートーのスーザンと死別した後、3人の子供の母親になる。母性は存在するの。

 男でも女でも、母性の中に埋没したくなる時ってあるじゃん。母性は、常に、永遠に懐かしいものでしょ。

 ノンフェロモンと母性。それがアニー・リーボヴィッツの魅力と特性なんだと、勝手に理解しましたとさ。


 で、ついでにキースね。それにしても、チャック丸開き、パンツもろ出し写真を撮られて大笑いしてるキースってのも凄くね?
 
 日本だったら、マネージヤーが血相変えて飛んできて、永遠にボツでしょ。ロックンローラーとしてのスケールが違うのよ。「もしも、キース・リチャーズがいなかったら、ロックンロールはキースのような人物わ作りださなければならなかったろう」とか言った人もいたみたいだけど、

 なーに言ってんのよ。ロックンロールとは、キースのことなんだって。必然的にキースは存在してんのさ。ジャンジャン。

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